そうして、
氷に閉ざされて眠りつづけていた人魚姫は、
目を覚ましました。
何かの童話の一節だったような気がする。
どうしてその人魚姫は目を覚ます事ができたのか。
今となっては覚えていない。
でも幼心に、
その人魚姫は目を覚ました時、
世界を見た時、
一体どれほど驚き、何を思ったのか。
是非、人魚姫に聞きたいと思っていたのを覚えている。
この時、まだ私は知らなかった。
まるで、
人魚姫が目を覚ますように、
衝撃的で、
新鮮な、
初めての世界を見るような…………
恋をするなんて。