『ねぇ、キスしちゃう?』整った唇が怪しく歪んだ。平凡な女の子、葵とホストみたいな風貌の男子教師の、ケーキみたいに甘くてタバコみたいにほろ苦い恋愛物語。

鮎川葵[アユカワアオイ]♀




顔も頭も人並みの普通の女の子。




人並みに恋愛もして、人並みな人と結婚して、人並みの人生を送るんだと思ってた。




今までも、これからも。




アイツに



『ねぇ、キスしちゃう?』




そう言われるまでは―。





―『ねぇ、やだよ。先生と離れたくないよ』




    ―『俺は先生だから』




―『お前と、一緒に生きていきたいんだよ』






あたしね、先生が[先生]であたしが[生徒]でよかったって、今は本当に思ってるんだよ。





先生に恋をした生徒と、生徒に恋をした先生の甘くて少しほろ苦い恋愛。