私が東京の端っこで生を受けてから二十年と数ヶ月が経とうとしている。

 これと言って目標もなく、至って普通に、そして平穏に暮らしていた。

 私は「こんな平凡な日がずっと続けばいいな」と毎日願っていたのだが、ひとりの少女との出会いを切欠に、ささやかな願望は原子も残らないほど木っ端微塵に粉砕されたのだ。

 今、私はその憎たらしくも愛らしい少女との思い出を語るために、六畳半の小汚い部屋にどっしりと腰を据えて、キーボードを叩いている。