黒蝶の願い事

作者ARINA

その少女はいつも黒い服ばかり着ている。


そして蝶のようにひらり、と


両手を開き、指揮をする。


だから皆には、「黒蝶」と呼ばれている。


その少女が「恋」をした。


とてつもなく苦しくて、甘くて、すっぱくて、


とてもとても悲しい「恋」をした。


なにもかも黒に見えてしまう少女にとっては、


初めての色だった。