忘れ去られた春、夏に焦がれる。儚く散った桜、力強く落ちていく若葉。そして、隠そうとする秋。沈黙の冬、眠る春は――ハルはまたやって来る。
―――記憶。あなたの今までの記憶。
それは本当に、あなたのものですか。
side Natsu
――あれ、私昨日いつ寝たっけ?
昨日何してたっけ?
なんだろ、
なんだろな、
モヤモヤする。
side Haru
――あたし、あたしは。
あたしの記憶が、
記憶が怖くなるの。
流れてくる、これは誰の記憶。