chris
好きになると言う事
恋の思い出って、時が経つほど美化されて、心に残ってしまうもの。
その部分が、ひよりチャンと純クンの二人にとって弊害になってしまう。
ですが、ひよりチャンの一途な思いが、少しずつ純クンの固まった心を溶かしてゆく。
その過程を、作者はゆっくりと描写されているので、読者も、二人と同じ時間を辿る様な形になります。
このテンポを、読者がどう捉えるかによって、この作品の評価は分かれるかと思います。
厳しい事を言って申し訳ないのですが、二人の気持ちを、あまりにも細かく描写しすぎ、私的には、「中だるみ」を感じてしまいました。
恋愛小説にある、定番な形を取るのであれば、もう少し速いテンポで物語が展開するか、二人の恋愛描写だけではなく、主人公以外の人物も含め、恋愛とは全く関係ないイベントを持たせたりする事により、もっと引き込まれる作品になったのではないかと思います。
ひよりチャンのキャラが生きている作品と感じただけに、その部分はもったいないなと感じました。
ですが、文体は丁寧で、読者に優しい気持ちを与えてくれる作品だと思います。