湯浅 楓

最高級の文才
読み終わり、思わずため息が出ました。

自分より年下の少女が、自分の遙か上を歩いている気分で、少し恥ずかしくなりました。

独自の近未来の想像図。
それを見事に描いていると思います。
詩を読んでいるような感覚。
そう思わせる文章。
何よりも、美しい文章と美しい内容が、上手く組合わさっているのがとても憎いです。

終わり方も、素晴らしいものでした。
読者に、この二人なら……と期待を持たせながら、余韻を残す。
見事です。

ミステリーの部分も、最初は物足りないと言う気もしましたが、最後の冬哉のセリフを聞いて、気がつきました。
二人は“子供”だから、難しく捻る事ができずに、一直線に考えてしまったんですね。

読みながら宝探しをしている気分でした。
内容が“ミステリー”なのではなく、文章自身が“ミステリー”でした。

僕も頑張らなくてはいけないと、つくづく思わされました。

ありがとうございました。