遠野ましろ
己を犠牲にしてでも護り抜きたいものの正体
惚れ込んだ。
作者様の文体が肌に合い過ぎる!
冒頭は場面描写少なし、地文続きで回想多め。退屈になりかねない筈が、この“惹き込む”リズムはどうしたものか?
浅き波のようにさらり軽妙に、時には底見えぬ沼の如く真髄をどっぷりと。独自の哲学を織り交ぜつつ紡ぎ出すリズムは秀逸。至極丁寧に描かれる、或る想い。
選んで、守ると決めたは自分。
どんな犠牲もいとわない、悲壮な覚悟。息詰まる日常。
柔らかな光、嘘の無い笑顔に触れ、居心地の良さに解れるリアル。
自分を素直に出せたなら…そんな渇望に強く共感。
イチオシは塩谷。しがないOLの目には、中間管理職的板挟みが涙ぐましい。
トップダウンままに瞳ギラつかせる輩ではない。護衛を遂行しつつも時に相手を気遣い、組織との間で揺れる心情。
これが、真奈美の葛藤に奥行きを与える。
玩具的イジられキャラも作品に良い色を足す。
『小説』に飢える私の心を種々の感情と共に満たしてくれる。まさにP.36の通り。
お気づきだろうか。彼女の贖罪は未だ不明。(現在P.126迄更新)だがこの共感度!
渇望している方は、是非。