たとえば彼の一瞬に

作者美十









はじめて触れた唇は、名前に似合わず温かかったとか。




柔らかい声が甘く響くときがあるとか。




今でも明確に思い出せる。







けれどいつか。





それすら思い出せなくなってしまったら。




私はどうすればいいのでしょうか。





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