「先生、好きです…」


白衣をつかむ小さな手。


まず視界に入ったのはそれだった。


振り返れば俯いて息を殺す つむじ。


サラリと揺れる黒髪の間に

赤く震える唇が垣間見えて、



か細い叫びが頭の中に反響する。



「………え…?」



机から取り上げようとしていたビーカーが

指の間をすり抜けて

鈍く 音を立てて


倒れた。






――【Sewing Heart】









*百合、レズに関する表現を含みます