うのたろう

この作品……好きだ、好きだ、好きだ
タイトルは作品に対する個人的感想だ。
やみくもに「好き」といっているわけではない。作品の温度がでたらめにいいのだ。

ぜんぜんかわいげのない主人公・陽奈の語る一人称は。地の文の口調がいい。すこし低めのテンションがいい。ときおりはさむ、いらぬひとことがいい。

夏の表現は秀逸だ。

さらには陽奈の一日のスケジュールもおもしろい。他人にはどうでもいいタイトスケジュールを懇々と地の文で語る。
表現は悪いが「くだらない」と思うくらいに「おもしろい」。

また物語もかなり、うまい。

まずは構成。結論を提示し本編へ。しかもそれがアクションシーン。すんなりと物語へ落ちていける。

キャラクターの造形もうまい。はじめにでてきた野上先輩のべたべたなかっこうよさは、読み手を引きつけるためのジャブにすぎない。かっこいいなんて形容詞は関係ない、生きた野上先輩を物語でははっきりと見ることができる。
わきのキャラクターにしてもそうだ。人物づくりの要点を自分のなかにしっかりと持っている。すばらしい。

現在55頁で物語は起承転結の承の部分だろうか。完結が楽しみなおすすめ作品だ。