雨上がりのキスは
ほろ苦い味がした。
君と過ごした最後の日、
俺が言った最後の言葉。
はにかんだ笑顔が
まだ忘れられない。
「ねぇ誠…」
俺の名前を呼んだ詩乃の声は
少し震えていて。
振り向こうとしない所から
多分泣いてて。
何もしてやれない自分が
情けなかった。
「なに?」
そう言った俺の声は
詩乃以上に震えていた。
万が一の事を考えて、
自分も後を向く。
涙で視界が歪んだ。
じゃり、と砂の音が頭に響く。
17歳の冬。
俺たちはまだ若すぎた。