錬徒利広
それぞれの物語
まず、素晴らしい内容であることを記しておく。
何より素晴らしいのは、それぞれの生き方を鮮やかに描き出しているということである。そしてそれは「世界が終わる」という共通点を持ち、群像劇として読み手に「終わる時」の登場人物それぞれの感情を伝えている。
世界が終わる時、あなたはどうしますか、という質問のようにも受け止められた。
ただ一つ残念だったのは、あの名作FLASH「あと一週間で消えるとしたら」にあったようなディテールが見受けられなかったことだ。個人的な注文で非常に申し訳ないが、バックグラウンドにもう少ししっかりとした骨組みを立てて語ってほしかった。
しかし、群像劇としてはなかなかの出来であるとは思う。眠れない夜に、是非読んで頂きたい一作だ。