天使の羽が、折れる音

作者finalangel

鈴川彩音は高校1年生。

クラスメイトの浅木浩輔に恋をした。

だが、彩音の思いと裏腹に、浩輔は彩音をイジメる。

それは「好きな人に思いを伝えるのが恥ずかしいからからかう」というほどの軽いものではなかった。

それでも、浩輔が好きだという一途な気持ちは変わらない彩音。

ある日、彩音は朝食を食べようと炊飯ジャーを開けた

炊きたてだったので湯気が彩音にかかる。

その時、彩音は吐き気を催した。

炊きたてのご飯の匂いで吐くのは妊娠した人特有の

「つわり」だが、彩音は性行為をしたことはない。

「妊娠なんかするはずないのに」という混乱ではなく

「浩輔くんの子供を妊娠したんだ」という想像が彩音の頭によぎる。

そう、彩音は『想像妊娠』をしてしまったのだ。

この事が、彩音と浩輔の歯車を狂わせる。