アザレアの恋に落ちて

作者由宇


「近所のお兄ちゃん」


一人っ子の橘司が小さい頃から"お兄ちゃんみたい"だと慕っていた五つ上の隆宏を好きだと気付いたのは、隆宏に婚約者を紹介された高校一年の春先だった。


「気付くのが、遅かった?どうしよう……こんなに好きなのに」


隆宏への想いを断ち切れないまま、高校二年の夏を迎えたある日、親友にとある場所へと誘われた司だが……。


――ねえ、司!行ってみたい場所があるのよ!



一歩踏み入れた場所は



――これ、高いんだけど?



幸か、不幸か



――橘さんって、何でそんなに優しいの?



隣の席の真面目君に、美形な俺様、片思いの相手……


青い、青い夏が始まったと同時に少し変わった恋愛が幕を開けた。