理香

絶望の上に何かを築こうとする人間の覚悟
冒頭から、ショッキングな犯罪描写が登場する。

女性である自分は、1ページ目で読むのが辛くなるほどだ。

しかし後にいくにつれ、興味深い登場人物や、近未来の日本に出現した無法地帯「エリア」の描写などに引き込まれていく。

残酷なまでに冷徹な高畠。
コケティッシュな射撃の名手、由魅。
そして主人公であり謎を秘めた真紀だ。

信じがたい恐ろしい絶望を、過去を乗り越えて来たこの三人は一つのチームを作る。

つまり「強姦撲滅チーム」であり、強姦犯を射殺するのが目的なのだ。

犯罪描写の凄まじさ、近未来の設定説明、各人物像の深みなど見どころはたくさんある。

わたしがもっとも心惹かれたのは、やはり人物描写だ。

高畠の孤高、由魅の率直さ、真紀の決意。

絶望の上に新たな何かを築こうとした人間の覚悟が、この作品の底には確実に存在している。
鋼よりも強いその覚悟が、読む者の心を掴んで離さないだろう。