コツ、コツ、コツ。
少し速いテンポでハイヒールが音を鳴らす。
桜木町駅を出て運河パークに続く汽車道を歩くのがユキは好きだった。
線路をモチーフにした木造の道は都会のアスファルトの道にはない深みがあり、いくら歩いても疲れないような錯覚さえ与えてくれた。
夜になると海に囲まれた道が程よい街灯の明かりに照らされ、多くのカップルが手を繋ぎ楽しそうに歩いていく。
大久保雅紀と井上有希も少し前まではそうだった…