未婚、子ども無し…そんな女性たちのことを「負け犬」と評したりする。
この小説では、不本意にもそんな世間の勝手なくくりの中に入れられてしまった女性たちが主人公。
実際の彼女たちを見ている限り、そんな後ろ向きな言葉は似合わない。
むしろ世の中の今1番おいしいところを生きているように、生き生きとしている。
恋に仕事に傷ついて、泣いて。でも笑って。
杓子定規でない今の女性たちの生々しいまでの声を容赦なく切り取る。
少し前までは会社で「お局」と言われ落ち込む彼女たちがドラマでよく描かれていたが、今の女性は落ち込んだりなんかしない。
「むしろ勝ったような気持ち」になるのはなぜか。
彼女たちが独りで牛丼屋で食事が出来ない「本当の」理由は「恥ずかしさ」からではなかった…。
生きているって結構楽しい。人生ってそれほど悪くないかも。
そんなふうに思わせてくれる作品。