東京、新宿。もしかしたらどこかにあるかもしれないお話。
知らないところで、繋がっているのかもしれない。
〜case.2 A〜
コールセンターの夜勤で働く亘(わたる)はその日も勤務が終わり、職場がある西新宿のビル街から駅に向かって歩いていた。
高速バスの降り場を通り過ぎる時、高校生ぐらいの少女が視界に入る。たまたま歩いて行く方向が同じだったので、少女を横目にぼんやり眺めていると、繁華街で強引な男に捕まっているところを目撃してしまう。咄嗟に助けに入った亘を少女は「お兄ちゃん」と呼び、なんとかピンチから逃れた。
少女の名前は小夜(さよ)。児童養護施設出身で、現在は裕福な養父母の元で生活をしているが、産みの母を探すために地方から東京にやってきたらしい。独自で母親のことを調べ上げ、彼女がかつて新宿で有名な風俗嬢だったことを知った小夜は、まさに今から歌舞伎町で捜索活動をしようとしていたのだった。
あまりにも無謀な行動に亘は呆れてしまう。だが世間知らずな家出少女を放っておくことが出来ず、元カノの理恵(りえ)も巻き込み、“母親捜し”を手伝うのであった…。
〜case.2 B〜
亘の職場の後輩、潤(じゅん)は気の合う同僚の武士(たけし)と夜勤明けにファミレスでいつものように雑談をしていた。
話題は1ヶ月前に新しく入ってきた、中年男性スタッフの真島(まじま)について。
仕事覚えの悪い歳上の後輩スタッフのことを最初は弄り倒していたが、やがて職場では徹底して誰とも交流しない真島の私生活に興味を抱く。
ちょっとした好奇心で、2人は真島の身辺調査をし始める。探偵モノの漫画やドラマで得た知識を元に捜査を進めていくと、どうやら真島は何らかのアート作品を制作している途中なんだとわかってくる。
暇潰しの一環で始めた身辺調査にのめり込んでいく潤と武士。真島という男の正体とは?