◎
「黒瀬君」
「うん」
「近いんだけど」
「どこ行くんだよ」
「スマホ充電するだけだよ」
「よかった」
「常に後ろから抱きついてくるのやめて」
「じゃあ前からにする」
「そういう問題じゃなくてね、」
「かわいいかわいい」
◎
「葉、マジ愛」
「うん。ありがとう」
「L・A・V・E」
「……Aじゃないよ?」
「え?」
◎
「黒瀬君」
「何?」
「顔にクリームついてる」
「知ってる」
「拭いた方がいいよ?」
「届かない」
「届くよね。頬だよ」
「葉。クリーム。頬。俺」
「……え?」
「やることは1つ」
「……」
◎
「葉どこ」
「トイレ」
「分かった」
「え!何?ドア叩かないでよ!」
「俺もその中に入れろ」
「無理でしょ!」
「俺をひとりにするな」
「ちょっとの間でしょ!」
◎
「葉聞いて」
「何?」
「愛してる」
「それ今言わなくてもいいよ」
「なんで?」
「洗剤の詰め替えしてる最中なんだよね」
「洗剤の詰め替えしてる葉も愛してる」
「そっかそっか」
「葉」
「ん?」
「かわいい」
「ちょっと黙ってて」
「わかった」