【天竜族】という存在は、御伽噺のひとつにしか過ぎない。
リュカと天竜の詩/KaoLi
かつてこの世界は、天竜族・陸竜族・海竜族という、三種族の竜に支配されていた。
世界は、争いの絶えない時代が続いた。
陸と海は常に敵対し、天は傍観者としてその争いを見ていた。
いつしか彼らの争いも落ち着いたころ、竜たちはのちに世界に生まれる人間との交わりを持つようになった。
八年前、海竜族の子孫である”船海族”のある一隻が、嵐に巻き込まれた。
その時、生き残りである一人の船海族が言った。
――大きな竜の首を見た、と。
しかし真実は未だ、暗く深い海の中を揺蕩っている。
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