現代日本で大好きな「ご主人さま」と暮らしていた犬・スノウは、ある日地震によってご主人さまを亡くしてしまう。朝から動物的な本能で何らかの違和感を感じていたのにも関わらず、そしてそれに従って主人を守れた犬もいたにも関わらず、自分はそれを無視してしまった。しかも自分を守ろうとしたせいで、ご主人さまは瓦礫の下敷きになってしまったのだ。その罪悪感と、しかしそれでもご主人さまにまた会いたいと願う気持ちで心を狂わせていったスノウは、夢遊病者のように無自覚に街をぶらつくようになり、やがて交通事故に巻き込まれてしまった。一方、その「ご主人さま」は異世界で不遇の王女・アメリアとして転生を果たしていた。アメリア王女は長く「忘れられた王女」として軽んじられてきたのだが、魔王討伐に伴う神獣召喚を実施することになり、神獣のパートナーである「聖女」になりうる存在として妹王女・メイリーンとともに儀式に立ち会うことになる。特に聖女になりたいわけでもなかったアメリアだが、義務として立ち会ったその儀式で現れたのは――前世の愛犬・スノウ!?
これは哀しい運命に引き裂かれた飼い主とその愛犬が、新しい世界で幸せを取り戻すまでの物語。
(※別名義で他サイトにも掲載)