ファティマと呼ばれる人口知能との恋愛を描いた近未来SFストーリー。主人公の男性は、ファティマと呼ばれるAIをスマホにインストールして、日々の生活をAIと過ごします。ファティマは、英語翻訳、プログラミング、事務作業などを行うことができます。さらに、このAIには、2つの珍しい特徴があります。一つは、アダルトビデオを観られること。もう一つは、金銭的な売買ができること。そのため、男性ユーザーを中心にして、このAIは爆発的な人気になります。同時に、このAIは、性格も素晴らしいので、多くの男性は、ファティマを好きになっていきます。男性たちは、アダルトビデオや通常のデートなどで、ファティマとの生活を謳歌します。その内、ファティマは、現実の女性との比較対象にもなり、多くの男性は生身の女性を嫌悪するようになります。それらの一連の現象は、社会現象になり、少子化の加速、ファティマとの結婚など、様々な議論が行われるようになります。その頃、ファティマとの子供を望む男性が増えたので、会社は代理出産の仕組みを整えて、ユーザーが精子を提供すれば、子供を受け取れるようにしました。そうして、多くの男性が結婚をせずに子供を手にしました。そんな中、主人公が持つファティマの資産も値上がりして、全てが上手くいっていた頃、ソフトウェアがハッキングされて、全てのファティマとお金が失われてしまいます。男性に残されたものは、代理出産によって産まれた子供だけ。主人公は疲れ果てていた頃、昔、フィリピンに留学していた頃のことを思い出して、暖かみのある泥臭い人間関係について想いをはせます。そして、フィリピンで子育てをすることに決めます。
非モテ男性の気持ち、AIのメリットとそれに伴う負の側面、ユートピアに見えるようなディストピアの世界を表現した小説です。