事故で突然両親を亡くした三坂綾目(みさか あやめ)は、その後、親戚中をたらいまわしにされることになる。
そうしてたどり着いたのが、山奥の閉鎖的な地域・下沢村だった。
そこで綾目は、忘れ去られた神社を見つける。
かつては水をつかさどる神・龍神が祀られていたが、今となってはその存在すら忘れられ、荒れ放題となっていた。
長年、水不足に悩む下沢村の住民たちは、大昔の神事を真似て、龍神に生贄を差し出すことを決める。
そこで選ばれたのが、綾目だった。
雪の降る極寒の中、綾目は薄衣を一枚だけ着せられた状態で、生贄として社殿をひと晩過ごすように命じられる。
あまりの寒さに意識は朦朧とし、死さえ覚悟したそのとき、龍神の眷属であるイチが彼女を救い出し、龍神の暮らす常世へ連れていく。
目を覚ました綾目がそこで出会ったのは、人に裏切られ、絶望に沈む龍神・佳月(かづき)だった。