もし、持ち主の手を離れたビデオカメラの記憶を映せたら、何が見えるだろう
追憶のフィルム、再生します/六畳のえる
小野塚茉森は社会人になってからも、大学時代の映画サークルで一緒だった、先輩の石月惟志と、後輩の越村知里の3人で映画を制作している。監督である惟志は「持ち主の手を離れたビデオカメラが持つ記憶を投影できる」という能力を持っており、撮影の傍ら、依頼を受けていた。
ある日、大学4年生の堂口晴海がカメラを持ってスタジオにやってくる。それは、仕事一辺倒で幼いときから全然構ってくれなかった、映画監督である母親、堂口奏海が川で自殺した理由を知りたい、という依頼で……