海辺の田舎町で、若手アーティストを招聘した芸術祭が開催されることに。
ある絵を見て以来、うまく「自分の絵」がかけなくなっていた女子高生・香雅里(かがり)は、招聘アーティストの名前に「あの絵のひと」を見つけ、どうしても会いたいと思い詰める。
だけど、現れた日本画家・有島はとてつもなくガラの悪い青年で……
※喫煙描写があります。苦手な方はご注意ください。
【本文一部抜粋】
くっきりと鮮やかに整った顔立ち。
誠に遺憾ながら、有島は華やかさや天真爛漫さには無縁ながらも、人目をひく顔立ちをしている。
「あー、それで、何サンだっけ。そこの高校生女子」
最低。
かなり最低。
しかもくわえ煙草の合い間から。
面倒くさそうに顔に手をつき、前髪をかきあげ、校庭まで出てきた歓迎の高校生たちをろくに見もせずに。
一歩前に出た香雅里(かがり)に向かって、煙と言葉を同時に吐き出した。
「まずはその煙草、やめてくれませんか」
有島は、前髪を一かたまり掴んだ状態で、ぴたりと動きを止める。
すぅっと切れ長の目を細めて香雅里を見た。
風が止んだ。
煙草から煙が一筋、揺らめかずゆっくりと立ち上った。
(本文より)
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