【物語全体のあらすじ】
地元の高校に通う『園田天音』は子どもの頃のある事故がきっかけで特別な力を持ってしまう。それは『人の心の声が聞こえる』というもの。この力が原因で天音は人と距離を置くようになった。その頃になると家の近所に寂れた神社を見つける天音。特に近くにある川がお気に入りだ。滅多に人が来ないそこは天音が唯一心を落ち着けられる場所となり、一人になりたい時天音は必ずそこへ行っていた。
高校一年生の夏、天音は今日も神社へと向かう。だがこの日出会う『泉澄』という青年により天音の人生は変わっていく。自分のことを河童でここの神社の神様だと名乗る泉澄。最初は信用出来ず警戒する天音だったが、泉澄の優しさに触れ徐々に心を開いていく。
そしていつの間にかお気に入りの場所が『一人になれる所』ではなく、『自分の素を出せる所』へと変わっていることに気付く天音。
泉澄の神友だちである『珠雨』という青年とも話すようになり、天音は本来の自分の明るさを取り戻しつつあった。
…だが穏やかな時間は『水月』という神の出現により少しずつ崩れ始めていく。泉澄のことを一方的に嫌っている水月は、泉澄の大切なものを壊すために動き出した。穢れの影響を受け体調を崩し出す珠雨。薬師である泉澄は珠雨の看病に追われ、天音のピンチに気付いてあげられなかった。泉澄のいないうちに天音に接触していた水月。天音に自分の印を刻み神気を流し、徐々に精神を壊そうとしていた。水月から刻まれた印がどんどん進行し、身体を蝕まれていく天音。泉澄が駆け付けた時には天音は目を開けることなく横たわっている状態だった。
天音を救うためには、かつての自分の力を取り戻す必要があることを知る泉澄。だがその方法は危険で、天音の身体がもたないかもしれない…。
泉澄は天音を救うため決断を迫られることになる。
【主要登場人物の説明】
園田天音(そのだ あまね)
田舎の学校に通う高校1年生の女の子。
子どもの頃の事故がきっかけで『人の心の声が聞こえる』という力に目覚める。普段は聞こえないようヘッドホンを着用。
元々は明るい性格だったが、自分の力が原因で他人と距離を置くようになった。
近所にある寂れた神社が1番落ち着く場所。
泉澄との出会いをきっかけに変わっていく。
泉澄(みずき)
河童。天音がよく行く寂れた神社の水神。凄腕薬師としての一面もある。
昔は竜と同じほどの神気があったが、人間の信仰心の薄れが原因で零落。
元々は人型だったが、零落したことが原因で姿も変えられてしまった。今は薬を飲んで人間の姿を保っている。
明るい性格で困っている人はほっとけない。
水月(すいげつ)
竜。水神の1人。
人型だが、竜の姿にも自由になれる。
儚げで優しい雰囲気をしているが、実際はプライドが高く他人を馬鹿にしている節がある。
自分の欲望を満たすためなら手段を選ばない。
河童が零落するよう裏で操っていたと噂されている。
珠雨(しゅう)
蛇。水神の1人。
身体が弱く元からあまり神気が強く無かった。人型だが、体調を崩すと蛇の姿になる。
身体が弱かったこともあり、穢れを受けやすい。その度に泉澄に助けられてきたため恩を感じている。
包容力のある優しい性格。