麗安国の東宮・雪蘭(第一皇子)には重大な秘密がある。六年前、本物の雪蘭は異母弟・星蘭(第二皇子)の母の実家である「緑の一族」の謀略で殺されてしまい、それ以来雪蘭の双子の妹で第一公主の梅花が兄に成り代わって生きてきたのだ。梅花は「雪蘭東宮」として文武に優れた活躍を見せながら、いつか兄の無念を晴らせればと願っていた。そんなふうにして十八歳を迎えたある日、成り代わり生活に最大の危機が訪れる。東宮に妃を迎えるように、主上の勅命が下ったのだ。しかも、相手はあろうことか、「緑の一族」の当主の娘・緑香だった。この婚儀から、梅花の運命の歯車は一気に動き出す――。
(最初にあらすじ、「そのいち。」から本編)