鶴族の名門・不破家の一人娘である美鶴は、織った布に織りながら願ったままの効果を付与できる特別な存在「聖なる織姫」になるだろうと人々から長年期待をかけられ、彼女自身もその能力を覚醒出来る日が来ることを信じて努力してきた。ところが、ある日突然現れた異母妹を名乗る少女・千鶴が能力を開花させたことで状況は一変する。未来の「聖なる織姫」としてもてはやされていた美鶴の立場は一気に崩れ去り、その全ては千鶴に取って代わられた。それは婚約も例外ではなく、婚約者だった王太子は美鶴と婚約を破棄して千鶴と結婚すると宣言。その上、美鶴は国外追放さえも命じられてしまう。釈明の機会も与えられず身一つで放り出された道の上で、これからどうすれば良いのだろうと呆然と座り込む美鶴。だが、話を聞いて不破家の屋敷をやめて追ってきたのだという下男・久遠が全面的にサポートしてくれたおかげで、美鶴は家事などを彼に学びながら山小屋での慎ましくも穏やかな新生活を無事にスタートさせることが出来たのだった。久遠にはこの恩を一生をかけてでも返さねばならない。そう誓った美鶴だったが、実は彼こそが自分を今の窮地に陥れた張本人であるらしい――!?
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