【サンプル公開】オリジナル小説同人誌について
以前より話題に出していたオリジナル同人誌、とりあえず書き下ろしを書いてページ数が確定したのでサンプルお披露目です。
◆基本情報
・オリジナル小説同人誌
・短編集
・文庫本
・200P
・頒布価格1500円~(刷り数にも拠るので高くなる可能性もあります)
・発行日:2022年11月27日予定
・通販予定(送料別)
・電子版も作成予定(値段は未定)
◆収録作品
●バース・リバース(※書き下ろしあり)
●森の奥の魔女と騎士
●神隠し、あるいは
●聖夜の奇跡と自称サンタ
●コール・ライン・コール
●締め切り明けに倒れたら、恋人候補がやってきた
●死に至る恋
●まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?(※書き下ろしあり)
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購入を予定してくださる方がいましたら、以下のアンケートなどお答えくださると刷り数の参考になります~。
●購入アンケート(Googleフォーム)→https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScCXESJ67aAygKASKjiLIz3aEvXb0eN9FzwHQuxXavT6uiuwg/viewform?usp=sf_link
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何かありましたら以下のメッセージツールででもコメントください。
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以下、書き下ろし部分サンプルです。
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バース・リバース あったかもしれない日常断片。 ―ジィのはなし―
「ねぇ、じぃはなんでうごけないの?」
ある日、ちまいのがそんなことを言い出した。
『そういった機能が必要ないからだ』
「きのう? ひつよう?」
『動けなくても問題がないということだ』
ジィが言い回しを変える。まだちまいのはわからない言葉も多い。それでもそういう言葉に触れさせていくことで理解できる語彙を増やさせるものだ、ってジィが前に言っていた。
「もんだい、あるよ!」
そうしたら、なんかちまいのが意味のわからないことを言い出した。いや、意味はわかるけど何が言いたいのかわからないこと。
「何が問題?」
「わたしとあそべない!」
「? ジィとはしりとりとかしてるよね」
「鬼ごっことか、かくれんぼとかがしたいの!」
その言葉に、納得する。確かにそれは動く機体(からだ)がないとできない。
でも。
「俺だけじゃダメなの?」
訊いてみると、ちまいのは頬を膨らませた。記録映像で見たリスみたいだ。
「三人で、したいの!」
ちまいのには何かこだわりがあるらしい。でもジィの本体(からだ)は据え付けのコンピュータだ。どうあがいても動けない。
でもこういうときのちまいのは、自分の要求が通らないと泣く。それはちょっと面倒だ。どうしたらいいんだろう。
そう考えていたら、ジィがおかしなことを言い出した。
『できなくはない』
「え?」
『使えなくはない機体がある。耐久年数はとうに過ぎているから、おそらくすぐ壊れるだろうが、遊びに付き合う程度はできるだろう』
ジィが画面にそう表示すると同時に、使っていない一室から何かが近づいてくるのを知覚する。現れたのは―ー。
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・
(表紙ラフいただいて考えたジィの機体のはなしです)
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まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……? ◇その後のおはなし
(抜粋)
(カイン殿下はお優しい……。いつも笑顔で、家族の分まで手土産を持って顔を見に来てくださるし……)
気遣いが細やかで、いつだってアリシアに会えて嬉しいという感情を表してくれて、そしてアリシアに優しい――を通り越して甘い。
婚約破棄のあの日まで名前と姿しか知らなかった相手ではあるけれど、そんなふうに関わりを持てば好意を抱いてしまうのは当然で。
だからこそ、悩んでいるのだった。
(相手からの好意が重すぎるって、こんなに居心地が悪くなるものだったのね……)
なんというか、自分が同じだけのものを返せない故に申し訳ないし、優しくされすぎるのに慣れてしまいそうでこわいし、惜しみなく向けられる情に溺れてしまいそうで及び腰になる。
(でも、ゆくゆくはその……夫婦になろうとしているわけだし。向けられるものに釣り合っていないと感じる好意でも、抱いたのなら伝えないとなんだけど……)
それはつまり、『一方的に好意を向けられている』という関係を変化させるということだ。
しかしそこに踏み出すための、勇気がちょっと足りないのだった。
〈アリシア、こわい?〉
〈そんなに悩まなくても、あの王子はアリシアに不利益になるようなことはしないと思うよ?〉
〈つたえたら、きっと、すっごく、よろこぶ!〉
(そういう不安があるわけじゃなくて……)
『きっと、すっごく、よろこぶ』のは、わかっているのだ。
好意を伝えたからといって、性急に何かを変化させるということもないだろうと思う。
けれど――。
(……そうね、確かにこわいのかしら、私)
精霊に言われて気付くというのも、ちょっと間抜けだけれど。
〈あの王子なら、こわいきもちもひっくるめて、きっとうけとめてくれるよ?〉
精霊が、アリシアの頬をつつきながら言う。
〈アリシアは心配性だもんね〉
肩に乗った精霊が悪戯げにささやく。
〈だいじょうぶだよ、アリシアはぼくたちの『いとし子』なんだから!〉
アリシアの髪で遊ぶ精霊が自信満々に言うのに、思わず笑ってしまう。
(根拠になってないわよ。……でも、ありがとう)
よし、と気合いを入れる。
立ち上がったアリシアの頭や膝の上にいた精霊たちが、転がり落ちる真似をしてきゃっきゃとさんざめく。
そんな精霊たちに笑みをこぼしながら、アリシアは家へと向かったのだった。
* * *
「これを……私に、ですか?」
澄んだ湖のような青い瞳がこぼれ落ちてしまいそうなほどに見開いたカイン王子に、アリシアはこくんと頷くのが精一杯だった。
差し出した手から、震える指先で受け取られたのは、刺繍入りのハンカチだ。しかし、ただのハンカチではない。
アリシアの出身地方に伝わる、特別な意匠を刺したもの――俗に、求婚の返事として渡すために作られるものだ。
(この感じ……たぶん、意味を知ってる、わよね)
アリシアからカイン王子へと何かを渡したのは、消え物の焼き菓子などを除けばこれが初めてなので、それでこのような反応になっている可能性もあるにはあるが――。
〈王子、感動してるねぇ〉
〈泣きそう! 泣く? 泣く?〉
〈しんじられない、ってかおだー〉
……精霊たちを見るに、とても感じ入ってくれているのは間違いないようなので、おそらくアリシアの推測は間違っていないのだろう。
しばらく声もなくハンカチを見つめていたカイン王子は、これが夢か現実がわからないとでもいうような目のまま、アリシアへと視線を合わせる。
「……ありがとうございます、アリシア殿……」
ハンカチを押し頂くようにして、感極まった声でお礼を言われて、アリシアはちょっとうろたえた。
「私が……勘違いしているのでなければ、この意匠はアリシア殿の出身地に伝わる……その……」
「そ、そうです!」
決定的な言葉をカイン王子が言う前に、かぶせ気味に答える。なんというか、恥ずかしいので。
「――改めてこういったものをくださるとは思わなかったので、とても嬉しいです」
やっとこれが現実と認められたような、いつもより数段キラキラした顔でそう言われて、アリシアは内心慌ててしまう。
(これ、伝わってるようで伝わってない……!)
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(後半はわりと当社比いちゃいちゃさせられたと思います)
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