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劇…

きぺえま七夕SS

「ねぇねぇ、外に笹を飾っていい?」
 
 なぜか床に大の字になって、瞬きもせず天井を見つめている桔平くんに話しかけると、視線だけがこっちに動いた。
 たまに……というか、しょっちゅうこういうことしているんだよね。芸術家って、よく分からない。

「……笹?」
「うん、7月になったし」
「あぁ、七夕か」
「そうそう。せっかく広いベランダがあるんだから、人工のでいいから、笹を飾りたいなぁって」
「いいけど……短冊も吊るすわけ?」
「もちろん」
「願いごと、なにを書くんだ?」
「それは、まだ秘密~」

 すると、桔平くんがガバッと起き上がった。

「よし、買いに行こうぜ」
「いまから?」
「ちょうど気分転換がしたかったんだよ」

 というわけで、暑いから車でホームセンターへと向かった。
 そしていい感じの笹と、色とりどりの折り紙も購入。帰ってから、2人で七夕飾りを作ることにした。
 私はネットを見ながら作業をしているのに、桔平くんはなにも見ずに、吹き流し、提灯、貝かざりなどを、どんどん作っていく。やっぱり器用だなぁ。
 完成したものは、桔平くんご指導のもとで笹に飾る。本当は七夕の前日に飾るらしいけど、たった1日だけなんて、もったいないもんね。それにしても、こういうところにこだわりを発揮するのは、さすが芸術家。

「わーい、完成!」
「なかなかいいな」

 ベランダの一角に完成した七夕飾りを眺めて、桔平くんも満足そうに頷いた。

「今年は天の川、見えるかなぁ。織姫と彦星が会えますように!」
「そもそも彦星と織姫が年1回しか会えなくなったのは、結婚したら急に怠け者になって仕事をしなくなって、天帝がブチキレたからじゃんか。愛欲に溺れて自分たちが怠けたせいで会えなくなった2人に、同情なんてする必要ねぇよ」
「……そうだとしても、可哀想じゃない。愛し合ってるのに。桔平くんだって、私に年1回しか会えないのは嫌でしょ?」
「まぁな。でもオレは、真面目に働くから。すげぇ真面目に働きつつ、愛茉にどっぷり溺れまくるから。会えなくはなんねぇもん」

 真顔で言うし。ロマンのない現実を淡々と語るときもあるけれど、絶対にフォローしてくるんだよね。そういうところ、本当に大好き。はい、惚気でーす。

「しかし、見事にかぶったよな」

 笹にぶら下げた2枚の短冊を眺めて、桔平くんが笑う。

「2人で同じことを書いたんだから、絶対に叶うよね」
「当たり前だろ。オレは死んでも長生きするし」
「死んでもって」

 私が笑うと、桔平くんはいつも優しい顔をする。それを見るのが好きだから、私はよく笑うようになったんだよ。
 しばらく、七夕飾りを見つめた。私の拙い字と、桔平くんの達筆が並ぶのは、少し恥ずかしい。だけど、お互いに願うことは一緒。

「桔平くんと健康に長生きできますように」
「愛茉と二人で延命息災」

 短冊に書いたことを言葉にして、また2人で笑い合った。


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七夕なので、さくっと書いてみました♡
ちなみにX(旧Twitter)にも同じものを載せております。

コメント

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  • えむら若奈【電子書籍発売中♡⃛】

    ♡碧泣。さま♡
    こんにちは!覗いてくださってありがとうございます!

    しれっとここで七夕SSを公開していました~♪
    時系列は特に考えていないのですが、2人のほっこりのんびりした日常の一幕ですね♡
    桔平は芸術家のこだわりを発揮しておりますw

    たまーに気が向いたらSSを載せるかもしれませんが、ブログ自体はちょこちょこ更新しているので、また覗いてやってください✨

  • 碧泣。

    今晩は🌉✨
    久々に覗いたらブログでSS❗️
    知る人ぞ知る感じで特しました🌸✨
    七夕飾り、桔平くんが作ったらものスゴくキレイそう💕
    2人の願い事が同じなのも素敵でした🌸✨
    ありがとうございます。また、遊びに来ます。