お返事
メル様へ
初めまして、佐倉梨子です。
この度は、心做しへのコメントしていただきありがとうございました。
執筆を始めた当初は、時雨はもっと自己中心的で嫌なキャラをイメージしていたのですが、物語が進むごとに人間身のある情の深いキャラになっていったのは書いている身としても不思議でした。
時雨はプライドが高く冷酷無情で決して良い人ではないのですが、基本的には一貫しているところが多く一度情をかけた人には一生尽くす性格で、とにかく面倒見が良いのです。
小夜の求めていた言葉を掛けたのは、意図的なものではなく偶然でした。
というのも、小夜の母親に対する感情を時雨もある程度は過去に抱いたことがあったので、境遇故にその辺りに共感することができたのも大きいかと思います。
後は小夜に対する愛情です。
時雨は小夜と関わる前からずっと意識していて、誰よりも真面目で努力家で、命さえも削りながらも苦労している様子を見てきたことで、好意を抱いていました。
人を愛することを知らないため、かなり不器用な愛し方にはなってしまいましたが想いの深さで小夜に寄り添い心の傷を癒すことができたのは、時雨の優しさだと思います。
時雨の境遇はかなり独特です。
母親からの愛情も物心付く前にはちゃんと向けられている時もありました。
しかし、それはあくまで我が子を愛する自分に酔っているだけで、時雨個人に向けられていたわけではありませんでした。
また、組員も同じです。
実は時雨は、組員からは無条件で昔からかなり慕われています。けれど、それはあくまで組長の息子であり、若頭である時雨に対する敬意であり、母親同様に時雨個人に対する感情ではありません。
この辺りが時雨の異常な狂気じみた執着心を生み出した元凶だと言えます。
それでも、時雨にのみ忠誠を誓う無名に、若頭としてではなくただの子供として扱っていた彼の存在が時雨の救いになっていたのです。
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