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てれすこ

よくある汚部屋掃除の番組と決定的に違うこと

それは、弁当の殻とかカップ麺のカップとか食料のゴミがほとんど無かったこと

あるのは酒の空き瓶
そして何に使ったのか解らないエタノールの空き容器

いったい何に使っていたんだろう
風呂場を使っている形跡が無かったから、体を拭いていたんだろうか

冷蔵庫には食パンが一斤だけ

何を食べて生きていたのか

録画した大量のVHSビデオがキレイに整理されて棚に収まっていた

文庫本が紙に包まれて本棚にしまってあつた

日記もなかった
家計簿も無かった

録画した物を記録した細かい細かい字がありんこのように並んだ紙や手帳は出てきた

ただただ酒をのみビデオを整理して記録して暮らしていたのだろうか

ちょっと普通に理解することは難しい

電話がないのだから友達と話をすることも無かっただろうし、近所の人は次兄が住んでいるのか居ないのか知ることも無かったそうだ

おまけに健康保険にも入っていなかった
次兄の年金収入ならほとんど掛からないと思うんだけど

どうにかしようと思わなかったのか

誰かに相談しようと思わなかったのか

全てが謎のまま次兄は彼岸へ旅立った

孤独に苦しむ夜は無かったのだろうか
ビデオの記録に忙しかったのか

もう誰にもうかがい知ることは出来ない

本人の写真も見つからない

出てきたのは母と祖母叔母の大量の写真だ

彼らは潤沢な年金を貰っていたから、あちこち旅行していたらしい
若作りして幸せそうに微笑んでいる

次兄にはそんな経験は皆無か、若い頃に少しあったくらいだろう

私と同じだ
旅行にいったのは亡夫が生きていた二十年前が最後だ
次男があれこれ連れ出そうとしてくれるが、 泊まりはイヤなので日帰りで帰れる場所にばかり行っている



何度か次兄の家の片付けに行くうちに、色々とわかってくるだろうか

次は葬祭所だ
その次はお墓にいれる
お坊さんを呼ぶ

そのあとまた片付けだ

片付け葬儀費用諸々のお金を払うためにあの部屋を売らなければならない

一番よい条件でやってくれるところにお願いしたい

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