私の好きな映画は…
『時をかける少女』
です
元々筒井康隆のファンで良く読んでいたのですが
映画化されると聞いて
お小遣いを貯めて貯めて
舞台挨拶のある上映や
サントラ盤レコード
色んな映画館でみた半券チケット
前売り券のチケット
映画グッズ
そしてなにより…
ラベンダーの香水
生まれて初めて買った
香水でした
長い長い髪も
バッサリ知世カットにして…
そんな私を
「あら、良く似合うねぇ
とっても可愛らしくて良いよ
じゃあ、気持ちもその女優さんみたいになれると良いね」
そう柔らかく微笑ながら話してくれたのは
他でもない私の母でした
私の通う学校は
中学も高校もセーラー服でした
なので主人公の着る
ブレザーに憧れて憧れて…
でも着れなくて…
ため息ばかりついていました
そんな時、ブレザーではないけれど
春物のグレーのツーピースを
母がお下がりしてくれました
それを着て週末に家族でデパートへ行くのが
とても楽しみでした
そうそう、昔は学校は土曜日も授業がありました
途中から他の学校は
土曜日が休みになりました
私の通う学校は何故か土曜日は相変わらず午前中授業でした
皆んなは文句言ってましたが
映画と同じで私はちょっとだけ嬉しかった記憶があります
そして…
人気のない理科実験室って
ちょっと不気味なんだけど
フラスコや薬瓶とかに陽がさして
綺麗な光線の中でとても素敵な空間になってました
『時をかける少女』
初めて買った香水
映画グッズだったラベンダーのポプリ
何でもかんでもラベンダー尽くしで
大して高級なものではないけれど
ラベンダーと名がつくだけで
とっても幸せでした
その頃同じでクラスに
日頃はスカート長くてカバンはペチャンコ
いつもガム噛んでいて
集団行動は拒否していて
禁止されているパーマの髪型や
眉毛も薄くて
先生からも目を付けられていて
いつも教室で一人で机に足を投げ出していた
帰国子女の同級生がいました
私も余り友達が居なかったので
昼休みはよく図書室で借りてきた
文庫本を読んで一人で過ごしていました
なので時々彼女と目が会いました
でも話すことはありませんでした
ある日その子が私の机の上に
ポンっと包み紙を投げてきました
「北海道行ったから、親と。
あんた好きだろ、そういうの。」
それだけ言って教室を出てしまいました
驚いたけど、そっと開けてみると
ラベンダーの花で染めたハンカチと
ラベンダーオイルが入っていました。
ドチラも持っていないもので
ラベンダーオイルはフタを開けると
教室中に香りが広がって
皆が私の机にやって来る程でした
それどうしたの?って皆に聞かれたので
彼女から貰ったと伝えると
教室は揺れるかと思うほどの
「えぇぇぇぇ〜っ!」
と言う声で包まれました
帰宅して母に伝えると
「良かったね。お礼しないとね。」
と言われて
お礼の手紙を書いていると
母が急いで
「今から持っていくよ、早く車に乗りなさい」
と言われびっくりして
母から貰ったグレーのツーピースを着て彼女の家へ手みやげを持って行きました
初めて見る彼女の家での服装は
エレガントでフランス人形みたいで素敵でした
彼女はお父様が外国の人でブロンドの髪に青い目をしていました
ビックリしている私に
もっとビックリしている彼女が
「何であんたインだよ?!」
と言いました
母はお土産のお礼の電話を彼女の家にした時に
翌日の便で彼女がドイツへ行ってしまう事を聞いたそうです
なので急いで私を彼女に会わせてほしいとお願いしてくれたのです
彼女のご両親もとても喜んでくださって起きて待っていてくれました
私は
「ごめんね、急いでいたので手紙しか書けなくて」
と恥ずかしくて下を向いたままグリーティングカードを出すと
いきなり彼女は抱きついてきて
「ありがとう!嬉しい!」
と言ってくれました
彼女の笑顔を初めて見ました
とても可愛かったです
いつも大人びていて
怖い雰囲気だったので
何だか私も嬉しくて笑顔になってしまいました
「あんた、笑うと可愛いよ!これからも笑ってな。そしたら友達沢山出来るから。」
と彼女が言いました
私は
「友達は誰でも良くないよ~」
と言うと、彼女は
「わたしも〜」
と二人で大笑いして抱き合いました
翌日の彼女の出発は早朝のため
見送りはできませんでした
私が車で帰る時
千切れる程手を振った彼女に
私ももっと手を振り続けました
彼女の髪はお父様からの遺伝で
元々ブロンドでした
帰りの車の中で母から
ハンカチはサヨナラの挨拶代わりに使われる事がある
と聞かされました
『時をかける少女』
生まれて初めてお土産を貰う友達が出来た
素敵な思い出のある
大好きな映画です
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