翔太から渡された携帯の受信メールを確認し始めた弓弦と、それをよそ目に西村を交えて
6人で話を始めた。
どうしても翔太のことだからほぉっては置けないのだ。
一生懸命に説得をする上村と中村と青井。自分たちだけが翔太の療養の外にいると。
西村と弓弦の家に翔太が泊り込んでリハビリを手伝い、
隣に住んでいる達哉が近くにいるというそれだけで
いつなんどきでも手伝うことができる環境なのだ。
3人はそれがうらやましいとそう思っている。記者会見の席で隣に社長とマネージャーが座り
それをはさんで向こう側に座っていた翔太の両親。
その翔太の両親が朝早くからここへきて翔太と弓弦と4人で決めたことを
口にしたとき正直びっくりはした。
しかし橋本夫妻が話す様子は誰が見ても清々しいいい顔をしていたのだ。
決めて話したこと。
`西村さんと原田さんご夫妻に私たちの息子を預け療養させ社会復帰そして
皆さんの前にしっかりと自分を取り戻して復帰するために預けます´
そんな顔をして話をするのを横で見てて俺らは?とふと考えてしまったんだろう。
俺らにできる何か・・・・それを話しながら、記者会見が終わったあと4人で話をした。
社長もマネージャーもきっと何も言わないだろうし、俺らが決めたことにダメとは言わないだろうと。
俺らは5人でMartinなのだからこれからのMartinも5人で作り上げていくんだと。
翔太が療養するのであればまず自分たちもと話をしながら4人で決め翔太の病室まで来たのだった。
「おーい。」
「で?」
「西村さんは翔太が西村さんちで療養したいって聞いたときっていつ?」
「記者会見のちょっと前、メールで弓弦から聞いたけど。」
「それ聞いてびっくりしたでしょう?」
「びっくりしたも何も・・・・翔太はなんでそう思ったんだ?」
「なんでっていうか・・・・なぜなのかわからないけど、弓弦さんと一緒にいたら
何かしらつかめるものがあるのかもしれないとそう思った自分を信じたんだ。
ただそれだけなんだ。」
「弓弦さんには話して了解を得たうえで翔太はおやじたちに伝えたのか?」
「あ・・・・それは。でも、弓弦さんなら僕の言葉にはNOとは言わないって信じて。」
「え?あたし翔太君が両親に伝えたとき初めて聞いたんだよ?」
「翔太・・・・お前さぁ、本当は忘れてないんじゃないのか?それに都合合せて
西村さんと弓弦さんの間で邪魔してやろうとか思ってたんと違うの?」
「そ!そっんな!そんなこと思ってません。」
「冗談だって冗談(笑)」
「でも弓弦、よく翔太の言ったことを受け入れたな。
俺と弓弦と翔太での生活が始まるのか・・・・・退院は?退院はいつだ?」
「まだ決まっていませんがそんなにしないで退院なんだとそう思っているけど。」
「弓弦?お前予定は?」
「3月中はロケ以外の予定以外はほとんど何にもなかったけど
4月はジャニスが来日するでしょう?まささんのライブも入ってるでしょう?
だから何もないときは久しぶりに練習しなきゃ。」
「そうだなぁ。弓弦も俺もバタバタだな。」
「バタバタしている西村さんのところに翔太が行くとますます大変じゃん。
やっぱり俺たちの手もいりますよ。」
「んだなぁ。」
「ダメダメ!あの家はあたしとまささんとの空間なんだから!
譲って翔太君の療養の時間だけが許されているんだからあなたたち3人まで一緒は無理よ!」
「やっぱりかぁ・・・・んじゃおばさんに相談しよう。」
「おばさん?」
「ひかりちゃんのお母さんに頼んでみようかと。」
「お前たちそれって卑怯じゃない?」
「どうしても翔太君の療養に手を貸したいんであればこうしよう。まず山本社長に許可を得ること。」
「社長かぁ・・・・。翔太の面倒を西村さんたちに押し付けられないっていえばきっとOKもらえるよな?」
「もちろん、きちんと考えてもらえるさ。
大丈夫、西村さんたちの迷惑にはならないようにきちんと俺たちするから。」
「んでもなぁ・・・・・・。弓弦どうする?」
「忙しくって翔太君を一人にできないときに誰かしらいると助かるんだと考えたら
いいんだろうけど、あたしたちの仕事もバタバタだしねぇ。」
「でさ、弓弦さん。」
「何?」
「ジャニスさんって?」
「あぁ、姉さん。はなさんの義兄さんが、
フランシス基金のことで最終詰めをされるということで来日されるの。
で、その時はおじいちゃんちに行かなきゃいけないしそうなると翔太君もその時はおじいちゃんちに。
あそこは24時間誰かしらお手伝いがいるから安心なんだよね。」
「それってこの間は月城さんの夕食会があったようにジャニスさんの夕食会があるんでしょ?
俺らまたお預け?次は俺たちもそれに行きたい!
翔太だけ行くのはどんな理由があるにしても絶対ずるい!」
「まだどうなるかわかんないけど、弓弦のお例もあるしきっと夕食会をするんだろうな。」
「もちろんよ。姉さんも久しぶりに会うお義兄さんのことでご機嫌なのわかるでしょう?
夜遅くに何かしら練習してるって言ってたし。」
「んじゃ、とりあえず社長に相談してOKもらおう。それでいい?西村さん。」
「そうだなOKが出たらこっちも考えるよ。達哉、母屋の方は部屋空きはないんだろ?」
「お母さんたちが2階はお前たちの新居で使えってそういわれたからみっちり使ってます(笑)」
「んじゃ翔太君+3人うちでってことかぁ。荷物どうにかしないとちょっと無理っぽい?」
「弓弦・・・・・キッチンの奥の部屋あれどうにかしてやろう。
そしたら3人どうにかなるだろ?その代り3人!」
「はい。」
「仕事じゃないときはしっかりと翔太の面倒と家の事頼むからな。」
「わかってます、弓弦さんだってまだまだなんですから。しっかりと俺らで掃除とかやりますよ。」
「僕だって提案したんだから怪我人じゃないんですしきちんと家のことしますよ?」
「みんな頑張ってね(笑)」
「それはそうと弓弦。」
「なぁに?」
「渡辺が暇そうにしてたぞ(笑)」
「そうなの?こっちにくりゃいいのに。ねぇ、翔太君(笑)」
「でもきちんと決まった予定を確かめておかなきゃいけないぞ?
渡辺にはちゃんとジャニスのこと伝えてるのか?
月城さんとジャニスと連絡取っていることそれに弓弦の予定が乗っかるんだから
明日朝から渡辺にこっち来るように伝えようか?」
「ん、いい。自分で連絡する。それよりもみんな夕飯は?」
「達哉!お前は俺と帰るんだぞ?叔母さんが酔いつぶれる前に連れて帰ってきてって
そう俺に頼んだんだ。」
「げぇ、お母さん西村さんにそんな事頼んだんだ。」
「ということはリーダー酒癖悪いの見られたんじゃね?」
「達哉・・・君。」
「リーダーって前に呼んでたみたいに呼んでよ、翔太。」
「リーダー(笑)禁酒しないとね(笑)」
「そうだな、賢ちゃんも一緒に禁煙したらどうなんだ?」
「雄ちゃんだってそうじゃん、雄ちゃんも禁酒だな(笑)」
「みんなそれぞれなんだ(笑)弓弦お前も禁煙頑張ったらどうだ?」
「あたしにまでとばっちり?あたしタバコ本数は減ってるわよ?前みたいに一日4箱も吸わないもん。」
「それでも今は?今だって2箱は吸ってるだろ?」
「まささん?ただでさえ病院にいてなかなか吸えなかったのに今はいいじゃん。
一日1箱に抑えてるしさ。」
「弓弦さんは僕といる間はタバコ吸いませんよね?」
「一応病室でしょ?ここ。吸わないこと我慢するのは別にできないことじゃないし。」
「でも弓弦さん、煙草の匂いがしなくなりましたよね?煙草変えました?」
「あ。煙草切れちゃった。買ってこなきゃ(笑)」
「弓弦!ごまかすなよ。翔太はここで夕飯なんだろ?俺らもう帰るから弓弦のこと頼むよ。
俺ら5人で飯食べて`mask´行ってくるから。」
「ずるい・・・・あたしも出勤していないのに自分だけ。」
「んじゃ休み返上して出勤すりゃいいじゃん。なぁ、達哉。」
「うんうん、そう思いますよ?」
「あたし自分の夕飯買ってこなくちゃいけないから、ここにいてくれる?」
「あぁ心配するな、おばさんがほら。弁当預けてるからこれ食べてここにいなよ。」
「・・・・・・・・なんだかうれしいようで悲しいようで。」
「さ、みんな行こう。弓弦は翔太の見張りでここにいてもらわなければいけないからさ。
弓弦、明日朝一番事務所に行ったら渡辺にここに行くよう伝えておくから。」
「んもぅ。わかった。みんな気を付けてね。」
「おぅ、翔太、弓弦の手を煩わせるなよ?」
「わかっています。大丈夫ですよ、弓弦さんと一緒におとなしくしてます。
PCでいろんなことを見せてもらいながらこれまでの話をしていますよ。」
「翔太君今日はもっと楽しい話をしてあげるよ。みんなでかけるそうだから(笑)」
「弓弦さんと楽しく話して眠りにつけるのならそれでもいいかな。みんないてらっしゃい(笑)」
「ちぇ、つまんないの。行こう西村さん。俺らは俺らで楽しもうよ。」
「そうだな、んじゃ弓弦行ってくる。翔太をよろしく頼むな。」
「了解(笑)」
翔太が気がついての記者会見の後の午後、みんなで集まりこんなに話をしたのはすごく楽しと感じていた。
こんな仲間が自分のそばにはいてくれるとすごく安心した自分が過去の自分はいい時間を過ごしたんだと
にやにやしながらもうれしい気持ちを隠せずにベッドに横になっていた。
すると弓弦がテーブルを用意しそばに来た。
弓弦が少し大きめのおばさんからの差し入れをテーブルに広げると
ドアをノックする音がして翔太の分の食事が運ばれてきた。
2人は向き合うように座り翔太は自分の分を食べながら弓弦に差し入れられたお弁当をつまんでいる。
そして夜までの時間これまでの話をまた二人で話し込んでいた。
消灯時間が来た。
その頃には弓弦も翔太も気分はハイになっていてまだ眠くはないのだけれど
きっと`消灯です´と声をかけられ
灯りを消されるとわかっているために、そそくさと翔太は自分のベッドにもぐりこみ、
その横のベッドに横たわる弓弦も同じようにもぐりこんだ。
そして二人ともお互いが眠くなるまで、窓から差し込む月明かりが差し込んだり
曇って暗くなったりする部屋の中で話し込んでいた。
そのうちうとうとと翔太の方が早くに眠くなり弓弦は翔太の寝顔を確認した後睡魔に負けるがごとく
自分も眠りに落ちて行った。
一方西村は達哉と中村・上村・青井を連れていつもの`garnet´へ連れて行った。
そして西村は上京していろいろあった懐かしい思い出を翔太と来た時のように
マスターを交えて話し込み時を過ごしていた。
1時間半ほど話しただろうか、西村の携帯が鳴ったのだが相手は誠だった。
`tururururu tururururu tururururu´
「はい、西村。」
「誠だが、お前どこにいるんだ?」
「どこって?garnetで飯食ってる。」
「少し前からはなさんがお前のこと待ってるぞ?」
「なんで?」
「少し話がしたいらしいんだが。」
「そうなの?」
「お前一人か?弓弦も一緒とか?」
「いや、弓弦は翔太のところに置いてきた。おばさんが弁当預けてくれたから。」
「弓弦はつきっきりなのか?」
「そうみたいだな。ちょっと焼けるが。」
「んじゃ、食べ終わったら来るか?」
「来るかって、周りにあと4人面倒なのがくっついてるしそれ引き連れていいのならそっちに行くが。
月城さんが待っているということはやっぱり行かないといけないんだろうな。」
「そうだな(笑)横で笑ってるぞ。んじゃ、待ってるからな。」
「おぅ。」
「誰ですか?」
「あぁ、誠さん。仕事中なんだろうが月城さんが俺に何か用事があるらしくて
`mask´で待ってるらしいんだけど、いいかな?」
「いいかなって何がでしょうか?(笑)」
「お前らなぁ。とりあえず飯は食ったし解散でいいか?」
「ん?西村さんと達哉だけ`mask´に行くのか?それってずるくない?」
「ずるいとかの問題じゃないだろ?
俺は西村さんに連れられて帰らないとひかりとお義母さんが納得しないし。」
「めっちゃずるいんじゃん。」
「そんなに言わずとも雄ちゃんも悠太も3人で一緒に行きゃいいだけじゃん。」
「お前ら・・・・明日仕事は?」
「明日は午後から打ち合わせだけ。明後日はロケとかが入るけどな。」
「知らないぞ?酔いつぶれたって自分ちに帰るんだからな?」
「さ、西村さん行こうよ。お会計、お会計は?マスターいくらですか?」
「もう帰るのか?全部で10,000円ぽっきりでいいぞ。」
「1人2,000円だな。あとでいいから、あとでくれ(笑)」
「ここは俺が出しますよ。領収書をお願いします。青井悠太で。」
「悠太いいのか?」
「これからお世話になるんですからこれぐらい、リーダーと雄ちゃんと賢ちゃんはあとでね。」
「ちゃっかりしてんな。」
「んじゃ行くぞ(笑)外でタクシー拾って直行しようかな。車は事務所に置いてきたから
帰りは誠さんの車に乗り合せていこう。」
「雄ちゃんと賢ちゃんは自分で帰るんだぞ?わかってる?」
「おい!悠太!お前は?お前は何考えてるんだ?」
「俺?俺は誠さんと人生の話をするから今日は誠さんの家に一緒に帰る。」
「それってめっちゃずるいって。なんならみんなでやっぱり西村さんのうちだよ。」
「お前たちは勝手に決めていくなぁ。誠さん次第ってことで。
誠さんがだめって言ったらそれぞれ帰るんだぞ?」
「とりあえず、もうすぐ着くんでしょう?久しぶりだなぁ。この間来たときは落ち込んじゃってて。」
「悠太一人で来たのか?」
「いや、あのときは西村さん一緒だったよね?」
「そうだったっけ?」
「でさ、落ち込んでるとみんながさ翔太君はこういったことしてたんだってこと細かく教えてくれるんだ。
なんだか俺らとは違う世界でさ、こんなにも翔太の世界が広がってたって思ったら
ちょっと焼きもち焼いちゃったけど、
でも仲間意識ってすごいなぁって俺らに負けてないんだって感じだよ。」
「なんたって弓弦の仕事場だからな。すげぇ居心地いいんだもんな。」
「さぁ着いたぞ、お前たちは先に店内に。もちろん誠さん指名でな。」
「了解。」
「ようこそ`mask´へご指名ご予約どちらでしょうか?」
「原田誠さんを。」
「承知いたしました、しばらくお待ちくださいませ。」
そういうとにっこり笑うと店内に向けていつものように言葉をかけた。
「原田誠さんご指名です。」
「yessir!」
「ようこそ我が城`mask’へ。早かったなぁ。」
「誠さんかっちょえぇ、びしっと。」
「褒めるなよ、みんな同じだ。俺のブースはあっちだが5人か・・・・大丈夫だな。
今日は人が少なくって、たまには早く終わろうって話をしてたんだけど、
お前らが来たとなるとそういうわけにはいかないな。」
「すみません、大人数で押しかけて。達哉と二人のはずだったんですが(笑)」
「そういうわけにもいかなかったんだろ?仕方ないさ。」
「誰かフォローを頼む。」
「yessir!」
「さぁ、こっちのブースにどうぞ。」
そう声をかけられそれぞれが順番に座った。誠のブースの奥には月城が座っていてその横に西村が座る。