元恋愛体質な少女。
恋に恋をし、忙しない毎日。
けれどいつからか、彼女は誰も好きになれなくなっていた。
代わりに、平穏で代わり映えのない日々を手に入れた。

けれど、春と共に貴方は再び現れた。
なんてことの無い、ただの貴方が。

「それ、美味しいの?」


「ううん。あんまり美味しくない。」


「え?じゃあなんで買ったの?」


驚いた顔の友人。

手に持っている、汗をかいた無糖の紅茶を片手に、私は笑みを浮かべてこう言った。


「うーん、なんでだろうね」


手の隙間から、水滴が零れた。

ほんとに。なんでだろう