物語全体のあらすじ
かつて、マツリダという都市では"魔法使い"と"人間"が共存していた。魔法使いの未知なる力を恐れた人間たちは『魔法使い狩り』と称し、彼らの殲滅を図ったという。数百年後、その歴史的事件についての記録は一切残っておらず、全貌を知る者も魔法使いを知る人間も居なくなっていた。
そんな魔法が忘れられた都市マツリダで暮らしている青年、成瀬来太。幼い頃から魔法使いに憧れを持っていたが、それは絵本の中の御伽話。でもいつかきっと出会えると、そう信じていた。
ある日、来太はマツリダ都市部での仕事中に、とある廃ビルの地下室で異様な植物に囲まれたまま倒れている銀髪の少年を見つける。目を覚ました少年は来太を見るなり怯えながら「人間…か?」と尋ねてきた。少年の問いに来太が頷くと、人間と分かった途端、少年は来太を地下室から追い出して立て籠ってしまう。
そこにいたのは、魔法使い狩りから逃れた生き残りの魔法使いだった。
霧に囲まれた街『魔法都市マツリダ』が舞台となり、魔法使いの生き残りであるステビアの失くした記憶を辿っていく。
人間を嫌う者、愛する者、憎む者と様々な魔法使いと出逢い、来太は葬られた過去である『魔法使い狩り』の真相を知る。
【魔法使い狩りの真相】
皆誰もが、人間が生きている今の世界は、『人間が成長して得た知識で出来ている』と信じていたが、実際には魔法使いがいて初めて技術の進化が生まれた世界だった。
生きるために必要なライフラインである、水や電気、ガス、通信は彼ら魔法使いがいて初めて発達していった。しかし、魔法使いの補佐としていた人間達は、その知識を蓄えると魔法使いは要らない、人間だけで生きていけると考え始める。その結果、不思議な力を持つ者はやはり異端であり、存在してはならないとして魔法使い狩りが企てられた。
人間の犯した事は正しいとは言えないが、来太はこの世界で新しく魔法使いと人間の共生できる道を探りたいと望むようになっていく。
しかし、その一方で人間への恨みを増幅させた魔法使いの組織の存在を知り、彼らが影で復讐に向けて動き出していることを知ることとなる…。
過去の記憶をなくした人間嫌いの魔法使いステビアと魔法使いに憧れを抱いた人間来太の種族を超えた友情物語。