かつて世界に繁栄していた魔法は姿を潜め、おとぎ話の中でのみ語られるようになった世界。
小説家志望の青年アイザックは、芸術を愛する人々が集う小さな田舎町テレーズに暮らしていた。しかし実際は一文字も小説を書いておらず、パトロンの女性に面倒を見てもらう日々。そんな生活を幼馴染のアリソンに怒られる毎日…
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物語全体のあらすじ
遥か昔に魔法が存在していた世界。
長い年月が経ち、誰もが使える科学技術が発展すると、限られた者にしか使えない魔法は廃れ、やがて世界から消えていった。
今やその存在はおとぎ話の本の中でのみ語り継がれている。
山間にある小さな田舎町、テレーズ。数多の芸術家たちが集う洗練されたこの町に、青年アイザックは暮らしていた。
彼は小説家志望の青年で、パトロンの女性から援助を受けて生活していた。しかし実際は一文字も書いておらず、そのことで幼馴染の少女アリソンに窘められる日々。
そんなある日、アイザックは街頭で少女が落とした地図を拾う。後を追うと、それは一人旅の少女ココのものだった。風変りなココに興味を持つアイザック。彼女は幻の本「黒き真珠の涙」を探して、この町にやって来たという。アイザックは彼女の探し物を手伝うことにする。
アイザックはお得意様で大金持ちのマダム・スーに本のことを訊ねてみるが、彼女は本の存在を知らなかった。
アリソンに押し付けられた本を返すため、彼女の働いているダイナーに赴いたアイザックは、そこでココと再会する。アリソンにも本のことを訊ねてみるが、彼女も知らないと言う。
その時、飲んだくれのゲイリーがその本を知っていると話に割り込んでくる。書いたのはゲイリーの亡き友人で有名な小説家のジョシュア・ウォードで、本には彼の秘密が書かれているという。
アイザックとココは図書館へ行き、ヒントを得るためにジョシュアの著作を調べ上げる。
本を愛するココに心を動かされたアイザックは、アリソンに渡された本を開いてみるのだった。
翌朝、本のことを話したゲイリーが死体となって発見された。
テレーズの町に不穏な空気が漂い始める。
アリソンはアイザックに昔の夢を思いだし、小説を書いてほしいという。
アイザックはココの身を案じ本探しをやめるよう言うが、彼女は聞き入れない。
一人孤独を感じるアイザック。紙とペンを手に取ってみるが、やはり何も書くことはできなかった。己の無力さに打ちひしがれる彼の下に、一本の電話がかかってくる。電話の相手はマダム・スーだった。
翌日、アイザックはマダム・スーにすべてを打ち明けた。去り際、アイザックは彼女の施しを断る。
アイザックは往来でココに出会う。彼女はジョシュアの著作からヒントを得、ある事実を確かめに行く途中だという。
たどり着いた町はずれの墓地で、二人はある衝撃の事実を目にする。