3日以内にまた会わないと自分のことを完全に忘れられてしまう呪いをかけられた少女ラーシャが友達を作るお話です。

現代から遡り約100年前、かつて勇者と魔王が戦っていた時代。

魔王は勇者に惜しくも敗れた際に、魔王の血族を滅ぼされないため、その血族に出会った人ともう一度3日以内に合わないとその相手が完全に自分のことを忘れてしまうという呪いをかけていた。そうして血族の存在を残し、忘れさせようとした。

その後、魔王も倒され、そして平等な世界をつくろうと新たに生まれた国家ゲランが誕生した。平和が訪れたこの世界に、ひっそりと暮らす魔王の血族の生き残り16歳の少女ラーシャ。

幼い頃暮らしていた両親は勇者の一族に捕らわれ処刑され、魔王の呪いにより逃れ生き残った彼女はただ一人町はずれにある古い屋敷に暮らし、屋敷の庭で育てた花を街に売りに行き生活を営んでいた。

今や魔王の存在を陥れる者もいなくなった世界で彼女は唯一できなかったことがあった。

それは友達をつくること、ずっと友達でいること。私を忘れないでいること。

彼女と3日間会わないと皆、彼女のことを忘れてしまう。

そして彼女には心残りがあった。幼い頃、一番長く友達でいられたが遠くの街へ行ってしまった男の子アベル。

アベルの家とラーシャの家が近かったためいつも2人は一緒に遊び、魔王の、呪いのことだけ彼に伝え、2人は絶対に忘れない、ずっと友達と約束をしたが、その約束も叶わず彼は離れてしまった。彼女は日々、アベルの面影を探す。彼はもう自分のことを忘れ去られていることを知りながら、そして彼女は今日も友達を作りに、かつて魔王を倒した勇者が生まれた街ルビアへ花を売りに行く。

いつも買いに行くパン屋さんの看板娘のリリナとも顔なじみになり勇気を出して、友達になろうと一歩踏み出す。

また、ラーシャ自身会ったことも顔も見たことのないのに「あなたを昔から知っている」と言う謎の男性ルイス、毎週花を買いに来る勇者の族長の息子アランや、街の配達人の少年ルーキなどのさまざまな人の出会いを過ごす。どれほど仲良くなっても会い続けなければ忘れ去られてしまうラーシャ、しかし彼女は夢をかなえるため日々、奮闘する。

ある日、ラーシャは屋敷の前にかつての幼馴染のアベルが姿を現す、約10年ぶりの再会で彼女は動揺と喜びの中彼に声をかける。彼の反応はラーシャをまったく忘れているわけでもなさそうで……