駆け出しのTL作家である
※ハプニングバー=初対面の男女でも同意があれば、『そういった行為』を楽しむ夜のお店
マジックミラー越しに見える男女の営みを観察していたところ、隣に立った『見た目は完璧男』が真由に話しかけてくる。ハプニングバーであるにも関わらず、「ろくに知らない者同士でセックスなんて気色が悪い」と男は嫌悪感を隠さない。「じゃ、来なければいいじゃないですか」と思わず真由は反論してしまう。だが、何故か、男は真由のフルネームを知っていて……そのまま去って行く。
翌朝、勤め先である商社『
業務をこなしていると社長秘書から内線が入り、昼休みに社長室に来るよう伝えられる。不思議に思いつつも足を運べば、社長室にいたのは昨夜ハプニングバーで会話した『見た目は完璧男』――
社長の立花から
深く落ち込む真由。
小説だけでは生活が成り立たないため、会社をクビになると困る。しかも、追い打ちをかけるよう、新作の執筆が進まない。
昼休み、真由は会社の近くにあるベンチでパソコンを開く。良いセリフが浮かばないまま、うんうん唸っていると、目の前にケバブがずいっと差し出され……顔を上げれば、立花が立っていた。
近くのキッチンカーでケバブを買ったという立花は真由の隣に座り、自身もケバブを頬張る。落ち込む様子の真由を見て、新作が進まない理由は俺のせいか、と問う立花。真由はそれもあるが、物書きとしての引き出しが少ないという悩みを立花に話す。
立花は真由の小説が面白かったこと、物語の印象など、詳細な感想を真由に伝える。まさか商社の社長である立花が、TL小説を褒めてくれるとは想像してなかった真由。驚いて固まっていると、立花は新作を一番に読ませてくれたら、今回の件は目をつぶる、と話す。
恋愛経験も乏しく、性癖もネットの情報でしかない真由は新作の執筆に自信が持てなかった。
そんな真由に立花は、真由が耳を疑う『ある提案』をする――