推しのいる世界に空気として転生した私は、推しの笑顔のために空気のままじゃいられない。

作者丸砂糖

◆物語全体のあらすじ◆


 アイドルゲームが大好きな女性が、そのゲームの世界に「空気」として転生し、推しの笑顔を守るために無双する話。


 主人公は、不幸体質の会社員、青空子(あおいそらこ)。

 空子はアイドル育成ゲーム『アンビシャス☆ボーイズ』に登場するアイドルユニット『ブライトメテオ』の大ファン。オタク仲間には、「空気になって推しを見守りたい」と普段から公言している。

 明るく能天気に見える空子だったが、実は子供のころから不幸に見舞われてばかりで、今もその不幸体質は変わらないが、ゲームの中でどんな逆境にもめげずに立ち向かう推しに勇気をもらっている。

 だが、そんな空子を最大級の不幸が襲う。いつものように自宅で『アンビシャス☆ボーイズ』をプレイしていると、極小サイズの隕石が屋根を貫通し、空子に直撃する。

 即死した空子の目の前に、神様がいた。

 神様は、人間の許容量を超える不幸により死んだ空子を、特別に、空子が望む世界へと転生させると告げる。


 気が付くと、空子は『アンビシャス☆ボーイズ』の世界にいた。

 アイドル候補生が通うアイドル育成学園の真ん中で、空子は歓喜の叫びを上げる。

 やがて空子は、誰も自分の姿や声を認識しないことに気付く。

 そう、空子は「空気」になっていた。

 透明人間のように見えない身体があるわけではなく、物理的身体から解放され、空気という概念に変化していた空子。望むだけでどんな場所にも行けて、推し達の学園生活を見守ることができる。

 いや、それよりも、いつも不幸に見舞われてばかりの自分の推しをサポートすることだってできるかもしれない。

 身体を失ったことを嘆くどころか喜ぶ空子。


 空子は空気として推し達を見守るうちに、アイドル候補生である推し達の前に立ちはだかる様々な不幸を知る。

 ただの「空気」である自分にできることなんてない……と思っていた空子だったが、試してみると、「空気」である空子は意外と色んなことができた。

 例えば、推し達の物販のタオルが売れないとなれば、雨雲を引っ張ってきて雨を降らせた。出演予定の野外ライブが台風で中止になりそうと聞けば、自らを逆回転の台風へと変化させ、台風を消滅させた。

 空子はもはやただの「空気」ではなく、超能力者として、推し達の笑顔を守るために行動するようになる。


 そして、仲間ができたり、この世界の秘密を知ったりしていくことで、空子の強さはインフレしていく。

 最後は女神として、推し達を不幸にしている元凶をぶん殴りに行く。