着の身着のまま突如異世界に飛ばされてしまった楠木あかり。

『世界樹』を育てることで食事に限らず望むものを得られることに気付いたあかりは、
衣食住を整えてさらに快適な生活を送り始める。
話し相手を望めば美しい女性の形をした従者まで得られる『世界樹』にあかりは大いに感激していた。

「このままのんび…

物語全体のあらすじ


 着の身着のまま突如異世界に飛ばされてしまった楠木あかり。

 転移時に手にした『世界樹』は、文字通り『世界樹』を植え付け、育てることで恩恵を受けられる力だった。


「この力を活かすならもうここに住んだほうがいいかなぁ……」


 ほどほどにオタク趣味も嗜んでいたあかりはすぐに異世界転移という現象に順応し、

 森に生活拠点をつくりスローライフを送りながら情報収集を進めていくことにする。


 世界樹に水をやり、日照を確保し、成長に応じて水や食料などの必要な物資を得る毎日。

 好奇心旺盛なあかりにとっては毎日『世界樹』の成長が見られる充実した日々になっていた。


『世界樹』を育てることで食事に限らず望むものを得られることに気付いたあかりは、

 衣食住を整えてさらに快適な生活を送り始める。

 話し相手を望めば美しい女性の形をした従者まで得られる『世界樹』にあかりは大いに感激していた。


「このままのんびり生きていくのも悪くないよね」


 だがあかりの思惑に反して森の周囲はどんどんトラブルが舞い込んでくる。


『世界樹』の力を目撃したゴブリン族があかりの元に現れ、庇護を求めてくる。

 長く続くコボルト族との狩場をめぐる争いに疲弊し、赤子にまともな食事も与えられないと語った。

 世話役となっていた従者、ミナミと相談し、ゴブリン族を庇護下に置くことを決めるあかり。

 すると世界樹はさらなる成長を遂げ、ゴブリンたちに住処と食事が提供されていった。


 十分な栄養と資源を得たゴブリンに長年のライバルであったコボルトたちは苦戦。

 その様子を見ていたあかりの提案でコボルトたちも庇護下に加えることになった。

 すると世界樹はさらに成長を遂げる。


「姐さん! このままここら一帯姐さんの島にしちゃえばどんどん生活が豊かになります!」


 ゴブリン族とコボルト族の若い連絡係に慕われながら、

 自分の周囲が生きやすくなるなら、と、あかりは世界樹の成長を目指していくことを決める。


 だがあかりの思惑に反し、成長していく『世界樹』は周囲をさらに巻き込んでいく事態に発展する。


 めったに表に出てこないとされる神話上の生物、エルフがあかりのもとに現れる。

 あかりを籠絡し『世界樹』とその勢力を取り込もうとするエルフの王子エレノアだったが、

 あかりの性格に徐々に惹かれ、ついにはあかりに結婚を持ちかける。

 絶世の美男子からの求婚にときめくあかりだったが元の世界のことが頭をちらつき決断はできない。


 いつまでも待つというエレノアの言葉に甘えながら森の生活を楽しんでいるとついに帝国に目をつけられる。

 帝国の使者である第三王子ゴルドも次第にあかりに惹かれはじめ……。


『世界樹』とあかりを中心に様々な種族、人物が入り乱れながら異世界でのスローライフと恋愛ファンタジーが繰り広げられていく。