パティシエールを目指す心(こころ)は、憧れの若き有名パティシエ、黒瀬晴道(くろせはれみち)のパティスリー「hare-michi」で目下、修業中。
夢は、憧れの晴道の側で一緒に働くことだった。
しかし初日から失敗続きで、ケーキ作りはおろか、配達係に回されてしまう。 
ある日、パーティー会場にウェディ…

 物語全体のあらすじ


 パティシエールを目指す心(こころ)は、憧れの若き有名パティシエ、黒瀬晴道(くろせはれみち)のパティスリー「hare-michi」で目下、修業中。夢は、憧れの晴道の側で一緒に働くことだ。

 しかし初日から失敗続きで、ケーキ作りはおろか、配達係に回されてしまう。

 それでも一日も早く晴道の側でアシスタントができるよう、配達の後に夜遅くまで仕込みの手伝いをしていたところ、現れた晴道に頑張ってるねと褒められ、ほのかに恋心を抱く。

 

 その日もホテルにウェディングケーキを届けに行くと、待っていたのはなんと晴道だった。晴道とともにパーティー会場へウェディングケーキをのせたワゴンを運ぶ途中、はしゃいで駆け寄ってきた子供にぶつかられ、ケーキは死守したものの、自分が階段の上から真っ逆さまに転落してしまう。


 死んでしまう! と覚悟したその時、気が付くと心は河原に倒れていた。なぜこんなところに? 自分を助けてくれようとした晴道はどうなったのだろう? 見上げると、東京とは思えないビルのない空が広がり、富士山が麓の方までよく見えている。いったいここはどこ? 

 振り返るとすぐ近くに壮大な城が見えた。まさか、江戸城? 河原から上がるとまるで時代劇のドラマのような街並みが広がり、町人らが行き交っている。ありえない光景に呆然とする心。

 どうしていいか分からず、戸惑いながら歩いていると、ある店屋の前に人だかりが。

「ええい、今までに誰も食べたことのない栗の菓子を御台所様が所望していると伝えたであろう! 作れないとは何事じゃ。成敗してくれる!」


 黒瀬屋と看板のかかった和菓子屋の前で店主はひれ伏し、侍が今にも刀を抜こうとしていた。心は思わず侍の前に飛び出し、店主を庇う。すると侍は、店主の代わりに誰も食べたことのない栗の菓子を作れと心に命じる。


 ひょんなことから将軍の正室に献上する菓子を作ることになった心。

 心が作ったのは、きんとんや白玉を使った栗の和風モンブランだった。

 それがきっかけで正室に気に入られ、大奥のパティシエールとして働きだす。

 大奥で様々な事件に巻き込まれつつも、いつも陰から誰かが助けてくれる。いったいその人は誰なのか。

 そして心は、元の時代に戻れるのだろうか? もう晴道に会うことも叶わないのだろうか? 

 そんなある日、大奥の離れにある専用の台所に、あるものが届けられて……。

 夢を追う男女のタイムスリップお仕事ファンタジー。