あらすじ
始まりはタイムカプセルだった。
高校卒業後、就職するもすぐに退職した男。瀧口和也。周りの友人も過疎化した地元を離れ、和也は叔父の伝で小さな商店の後継を任されていた。しかし、客も少なく、ただただぼーっとする日々。愚痴ばかりを考えている中、昔公園で埋めたタイムカプセルの事を思い出す。一緒に埋めた友人も忘れているだろうし、一人で回収しに行こうと決めた。公園の変わり果てた姿に呆気を取られるも、タイムカプセルを埋めた場所を見つけ、掘り返す。カプセルを開けるとそこには懐かしの品々が入っていた。それだけだった。特別懐かしい気持ちにもなれず、自分はそこまで腐ってしまったのかと考えていた時、カプセルの底に手紙が入っていることに気づく。手紙を開こうとしたその時、背後から子供が怒号を放つ。振り返った瀧口は唖然とした。そこには自分の幼い姿をした者と、さっきまで廃れていた元公園の景色が一変。幼い頃に遊びに来ていた公園の景色が広がっていた。瀧口は時間を確認する為、携帯を取り出すと少年が食らいつく。見た事のない物を見て興奮する少年は瀧口に何者だと尋ねる。瀧口は自分の名前を言うべきかどうか悩み、色々考えた挙句、何故か神様と名乗ってしまう。瀧口は流石に怪しむかと思ったら、少年はまんまと信じてしまう。瀧口は少年の夢を叶える事が出来ると言い、昔の夢の事について思い出した。夢は絵を描く仕事に就く事。しかし、瀧口の育っていった環境は、絵を描く仕事を目指す人にとって整った環境ではなく、それに気づいた時には既に手遅れだった。瀧口は少年に何て伝えようかとすると、ある一つの打開策を思いつく。今、絵の仕事につく術を知っている瀧口が少年にそれに関する情報を少しづつ教えていけば、夢を叶える事が出来るのではないかと。瀧口は少年に秘密のゲームと称したキャリアサポートをする事にした。
これは、望まない人生を送っていた男、瀧口和也がタイムカプセルをきっかけに過去の自分と出会い、過去の自分が見ていた夢を叶える為に動く物語である。