1970年代前半、レバノンのベイルート。
主人公のハーフィドは相方のシャクールとともにとある組織の工作員として生きていた。自らの正義を信じ、組織の上層部にいる叔父・ガァニィの命令に従い暗殺を実行していくハーフィド。
しかし情報屋の女・ラティーファと出会ったことをきっかけに、ハーフィドは次第にテロを…

バイオリンと花


 商業や金融の中心地として中東のパリと呼ばれるほどに栄えるベイルートは、巨大なビルがいくつもひしめく賑やかな街並みだ。西洋風の装飾が施されたビルはどれも違うデザインなのに、それでいて一つの街として調和している。

 道行く人々も開放的な服装の人が多く、夏ということもありバカンス中らしき観光客もいた。

 政治的な問題を抱えていても、ベイルートの繁栄は翳りを知らない。