夢からさめたら、泣いていたことをわたしは忘れている。「朝の四時から夜の十時まで、開いていますよ」「出口だ、と思っています」砂漠の砂粒を数えるような途方もなさでほとんど確信しながら、これ以上満ちることはできない、と思う。
わたしはじゃあうつくしい人間なの? わたしの中のわたしが問いかける。
心臓をとりだして、わるいところや綻びや傷を、ゆっくりなおしているみたいな作業だ。
眠り損ねた羊のような思いで扉をそっと押せば、外観よりもずっとやさしい軽さでその入り口はひらいてくれる。