「じゃあ、おれにつき合ってくれない?」自分のしつこいほどの速い心音だけが、身体の輪郭を飛び越えて響いた。「南津くん」呼んでも、見向きもしない。もう二度と出会ってくれない。









あなたが笑っていると、雪が降った日のとても寒い朝のように、全身がこわばって動かなくなる。あるいは、その冷え切った身体を、湯船いっぱいにはったとても熱いお湯に浸したみたいに、苦しくて息ができなくなる。





「あなたはあなたでしかないよ」



折り重なるような体温が息の仕方を忘れさせた。








小説アンソロジー『NUT's 04 TODAY FOR YOU,TOMORROW FOR ME!』所収