快い記憶や出来事ばかりあるはずもなかった。世界はくだらんことばかり起きる。きっと、ずっと退屈だった。その光を見つめるまで。手に入らないものが欲しくなる。遠くに見た光は綺麗に見えるのに、手の中におさまるととたんに興味が失せていく。夜空みたいな瞳に、おれは問いかけたくなる。
小さな唇が
海に散らばる水泡のように、震える
いつまで逃げてんだよ。
言葉が漏れ出て、感情が追いつかず、
喉許で滞る。
おれは、その罪に気づくことができない。
「信じるに値する人間じゃなくてごめん」