きみの花がほどけて

作者中山史花

懺悔のようだった。「ごめんね」それはわたしが言わなくてはいけない言葉だった。 「楓ちゃんは、恵美のこと、わかっているでしょう」 「死んでいるものなんて、死んでいるのだから助けても意味がない」わたしにだけ聴こえる声が、わたしを呼ぶ。









その足は地についていなかった。安定していないとか堅実でないとかいう意味ではなくて、文字どおりに、その足は床に触れていなかった。風に舞ったはなびらが吹きこんで、からだをすり抜ける。




ひどく焦ったようにわたしの手首を摑み、手はすり抜けて、弧を描きながら宙に揺れた。









◎他サイトでも公開しています。