辺境の村の領主の屋敷で働く使用人であるミンギルとテウォンは、奴婢に近い存在として、常に軽んじられ馬鹿にされてきた。
お互いの存在しか頼る者がいない二人は、兄弟よりも深い友情で結ばれており、楽しいことも辛いことも何ごとも分け合って生きている。
しかし「朝鮮民主主義人民共和国」という名の新しい国が戦争…

 幼いミンギルとテウォンは自分の生まれた日時も、生んだ人の名前もよく知らなかった。しかし覚えている限りのほとんどすべての時間を二人で一緒に生きていても、自分たちが兄弟ではないことは漠然と理解していた。


牛